ケーキハウス「ツマガリ」社長・津曲孝さんに、洋菓子と西宮の魅力やご自身の哲学について聞きました。

ケーキハウス「ツマガリ」社長・津曲孝さん
ケーキハウス「ツマガリ」社長・津曲孝さん(甲陽園本店にて)

『ツマガリ』は「お菓子」と「思い出」の両方を作る場所

実はね、今のお店の場所は私が選んだんじゃないんですよ。だって、不動産業者に一番最初に連れてこられた場所だから(笑)。店をオープンした直後、甲陽園はまったく人気がなかった。でも、私は「甲陽園」という地名がとてつもないブランド力を秘めた地名だと感じ、迷うことなく今の場所で店を開く決断をしました。また、ギフト商品を開発した時には、外国語の商品名ではなく甲陽園の街の名前を付けました。「ツマガリ」よりも「甲陽園」を多くの人に知ってもらいたかったんです。この気持ちは今も変わりません。
ケーキハウス「ツマガリ」社長・津曲孝さん
なぜなら甲陽園の街が好きだから、素晴らしい街でありつづけるお手伝いをしたいんです。地域活動をはじめ、社内に掃除部を作って環境整備活動も続けています。街をキレイにすれば犯罪も減り、美しくて安全な街にできるから。昔は自警団もやったね。これらはお店の宣伝とはまったく関係なくて、この街が好きだからやっているだけ。「ツマガリ」はお菓子の味と品質だけでお客さまと勝負する。これは創業以来変わりません。
ケーキハウス「ツマガリ」:外観
創業以来変わらないのは店の装いも同じ。電球以外は変えていません。なぜなら店は、お客さまの『思い出』だから。思い出の店が、現在も変わらぬ姿でそこにあり続けることが大切だと思うからね。だから、親子二代で働いてくれる人がいたり、学生時代にアルバイトとして働いてくれた女性が、お子さまの成人を機に再びパートタイムで働いてくれる。『ツマガリ』はお菓子と思い出の両方を作る場所なんですよ。

ケーキハウス「ツマガリ」:外観

美しい海、山、川。自然の風景こそ西宮の魅力。

西宮は、個性的で技術レベルが高い洋菓子店が切磋琢磨する街。その理由は、西宮の街の文化レベルが高く、同時に生活水準も高いから。文化レベルが高い都市にはハレのお菓子が求められるんだけど、西宮にはハレのお菓子を毎日食べられる生活水準の人が多い。だから洋菓子の消費も多い。消費が多いから全国から腕利きの職人が集まって切磋琢磨し、より個性的&ハイレベルになり、さらにおいしくなった洋菓子の消費が増えていく。この循環がずっと続いてる街なんです。
ケーキハウス「ツマガリ」社長・津曲孝さん
私がめざすのは「一番」よりも「一流」。商品はもちろん、商品の売り方や売っている街、さらには売る人、そういったすべての要素が整わないと一流にはなれない。一流とそれ以外の差は規律。一流は規律で動き、それ以外は規則で動く。洋菓子を追求すると規律が身についてくる。なぜなら人間を磨かないと舌は磨けないから、結果おいしいお菓子を作ることができない。甲陽園には規律という品のある風が流れているんだ。それを僕の直感が察知して、この街で洋菓子店を開くことを決心させたんだと思う。
ケーキハウス「ツマガリ」:店内
西宮の街は文教都市としてレベルが高く、利便性も非常に高い。でも、私が思う西宮の魅力といえば山河の美しさかな。海から見た山の美しさ、逆に山から見た海岸の美しさ、さらには西宮ヨットハーバー周辺も良い雰囲気を持っている。散策やハイキングにもぴったりのコースがたくさんあるし、風景の美しさが一番の魅力だと思うよ。独立を決める前に、たまたま迷いこんだ神呪寺の境内から見た景色は忘れられない。

ケーキハウス「ツマガリ」:ショーケース

追求し続けるのは、お客さまの「おいしい」というひと言

よりおいしい洋菓子を追求すると 、よりピュアでより良い素材を求めることになる。常により良い素材を求めて世界中を探し求めている。世界のどこかに、自分と同じような気持ちの生産者が必ずいるはずだから。
なぜこんなに素材にこだわるかというと、食べものは素材が味付けを表現するから。良い素材なら変な付けをしなくても、勝手に個性を輝かせて良い味を出してくれるからおいしい。でも、今よりももっと最高な原料がないか常に探している。この追求には終わりがないから、一生追求し続けてより良質に変化し続ける人でありたいと思っています。
商売の秘訣は街に貢献すること。私も自分のことは一切考えず、お客さまが喜んでもらえることだけを100%考えてやってきた。でも、お客さまを追いかけたらダメ。お客さまに追いかけてもらわないと。そのためには最高の洋菓子を作り続けないといけない。そうしたら、お客さまが勝手に「ツマガリの営業マン」となって広めてくれるようになる。
ケーキハウス「ツマガリ」社長・津曲孝さん
私の人生は出会い頭の人生。でも、その出会い頭を本当のご縁にしてきた。お菓子作りもそうだし、甲陽園との出会いもそう。すべてが未知との遭遇だった。でも、未知との遭遇を厭わないから新たな発見ができるし、お菓子もよりおいしくすることができる。これからも未知との遭遇を繰り返しながら、お客さまの「おいしい」というひと言を求めて、一流の菓子職人をめざし続けます。
NISHINOMIYA COMMONS編集部
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