【とおかし図鑑】Vol.02「あおやま菓匠」
〜西宮神社の本殿をイメージした包みの中に"大きな福"が〜

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今回は「あおやま菓匠」(中浜町)の「えびす福耳大福」をご紹介
「とおかし」とは、西宮神社の十日参り(4月〜翌年3月)の際に配られるお菓子のこと(※1月は除く)。
2017年度から始まった「とおかしプロジェクト」によって、西宮市内の11の和菓子店が月替りでとおかしの制作を担当することになりました。それぞれのとおかしは、毎月10日限定で各店舗にて販売されています。(※詳しくはこちら

この連載「とおかし図鑑」では、市野亜由美(ライター/西宮在住)が、それぞれのお菓子と和菓子店の魅力に迫ります!
第2回は、阪神香櫨園駅近くにある「あおやま菓匠 香櫨園店」へ。同店の当番月は2018年12月、配布される和菓子は「えびす福耳大福」です!

閑静な町の一角、素朴なたたずまい

あおやま菓匠 香櫨園店
あおやま菓匠 香櫨園店。店頭の黒板には季節のおすすめが手書きされています
あおやま菓匠 香櫨園店があるのは静かな住宅街の一角。町並みに馴染むたたずまいが印象的です。本店は芦屋で半世紀にわたって和菓子を製造・提供しており、香櫨園店は販売のみ。こちらの店主・青山浩志(ひろし)さんは、和菓子職人の父の背中を見て育ってきたそう。「芦屋の工場では、家族ぐるみで製造をしています。幼い頃からお正月や節句のシーズンにはお餅や和菓子をつくる手伝いをしていましたね」と話します。

素敵な和菓子を生み出す二代目は異色の経歴

あおやま菓匠 香櫨園店
店主の青山さん。47歳とは思えない外見の秘訣は「小豆ポリフェノールの効果です(笑)」と愉快なお答え
幼い頃から和菓子に親しんだ環境に育った青山さん。職人としての道を歩みはじめると決意したのは15年ほど前、30歳を過ぎてから。実はシンガーソングライターとして活躍していたという経歴があるのだとか。「これまで一度も『店を継げ』と無理強いされることはなく、大学を出てから好きな道に進ませてもらいました。また、父の仕事を尊敬していたので、中途半端に継ぐというのが失礼だという気持ちもありました」
そして一見、まったく違う分野ですが、「(和菓子をつくるのは)作詞の世界とも似ています。自分の想いをつなげてオリジナリティのあるかたちにする作業なので」と青山さんは話します。そんな青山さんのお菓子はどれも工夫が凝らされています。

精米したてのブランド米をついたお餅はしっかりとしたコシ!

あおやま菓匠 香櫨園店
大福の中には北海道産の大納言小豆を炊いたあんがたっぷり。
さて、同店のとおかし「えびす福耳大福」に話を戻しましょう。とおかしの包みを受け取ると、ずっしりとした重み。包みを開くと、なんと大福が4つも! たっぷりのボリュームがうれしいサプライズです。
大福に使われているのは、「滋賀羽二重糯(しがはぶたえもち)」という滋賀県産のブランド米。これを精米してすぐ蒸し、つくと、コシがあってキメが細かく、伸びが良いお餅に......。これは、おいしいに決まっていますよね。粟(あわ)のお餅は「濡れ手で粟」ということで、ご利益があるように。蓬(よもぎ)のお餅は西宮神社境内の「えびすの森」の緑をイメージしたものだそう。色や素材のセレクトにも細かな工夫があるのが、あおやま菓匠ならでは。

日本らしい奥ゆかしさを感じるパッケージにもアイデアが

あおやま菓匠 香櫨園店
あおやま菓匠 香櫨園店
特別につくった鯛のシールには、「えびす」の文字が隠されているのだとか。探してみてください!
こだわりはお菓子づくりばかりではありません。そのパッケージにもさまざまなアイデアが詰め込まれています。とおかしの赤い帯は「西宮神社さんの鳥居というイメージ」に。箱を開けると、えべっさんの笹のオーナメントと鯛が登場。内側の掛け紙には、めでたい金色の模様がプリントされています。
あおやま菓匠 香櫨園店
掛け紙にえべっさん
この模様は、全国的にも珍しい、西宮神社の本殿の「三連春日造(さんれんかすがづくり)」という建築構造を模しています。掛け紙の右側にえべっさんのお顔が配置されているのも、実物の本殿で第一殿の右側に「蛭児大神(えびすおおかみ)」がお祀りしてあるのにならっているとのこと。
「大切なものをくるむ、奥ゆかしい日本の文化をモチーフにしました。とおかしでは他店の方々と競ってお互いを高め合えるし、やりがいもあります! こうやってアイデアを考えるのが大好きなんですよ」(青山さん)
商品開発やパッケージデザインを通じて、日本文化のことを知ることができ、和菓子とのつながりを感じるのだとか。

「ひと月に一度でも和菓子を楽しんでもらえるきっかけに」

あおやま菓匠 香櫨園店
あおやま菓匠 香櫨園店
季節の上生菓子のほか、先代が考案した代表銘菓「あしや最中」も
現在、青山さんは子ども向けの和菓子教室にも力を入れています。「和菓子が苦手だったのに、自分でつくったら好きになってくれる子もいます。とおかしや教室をきっかけにひと月に一度でも和菓子を楽しむ文化が根付いていくといいなと願っています」と希望を語る姿が印象的でした。

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「毎月十日はとおかしの日」。 西宮のスペシャルな銘菓を楽しめる特別な機会をお楽しみください。
※11店舗の「とおかし」は、こちらの紹介リーフレット(PDF)でご覧いただけます。

市野亜由美
市野亜由美
西宮市在住のライター。"どこへでも実際に行ってみたい派"です。読者に「私も!」と思ってもらえるような、再現性のある情報を届けられるとうれしいです。好きなジャンルは、食べものやアート
NISHINOMIYA COMMONS編集部
ライター・市野亜由美
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