【とおかし図鑑】Vol.08「君栄堂本舗」
~大粒の和栗入りでずっしり!~

single156_images_01.JPG
「君栄堂本舗」(馬場町)のとおかし「戎福栗(えびすふくくり)」
「とおかし」とは、西宮神社の十日参り(4月~翌年3月)の際に配られるお菓子のこと(※1月は除く)。
2017年度から始まった「とおかしプロジェクト」では、1年間に西宮市内の11の和菓子店が月替りでとおかしの制作を担当しており、それぞれのとおかしは、毎月10日限定で各店舗にて販売されます(※詳しくはこちら)。

この連載「とおかし図鑑」では、市野亜由美(ライター/西宮在住)が、それぞれのお菓子と和菓子店の魅力に迫ります!
第8回は、阪神西宮駅にほど近い「君栄堂本舗」へ。同店の当番月は2018年10月、配布された和菓子は「戎福栗」でした。

西宮神社の門前に、約100年前に創業

とおかし図鑑:御菓子司 昇月堂
落ち着いた雰囲気の「君栄堂本舗」の外観
「君栄堂本舗」が誕生したのは大正中期。
3代目店主の木地孝昭(きじ・たかあき)さんによると、店名は創業者の奥さんの名前にちなんだものだとか。
「大阪で呉服屋をしていた曽祖父が西宮に移り住むときに迎えた養女の名前が『君江』です。当時、この辺りで繁盛していた餅屋『まつだもち』の三男を婿養子に迎え、君栄堂がスタートしました」
現在は「まつだもち」は閉店したそうですが、約100年にわたるお店の歴史を感じるお話です。
とおかし図鑑:御菓子司 昇月堂
ショーケースの上段には、つややかで真っ白なお餅が並んでいます
「えべっさんの門前町という立地もあって、神社の祭事などの餅は当店が納めさせていただいています」と木地さん。
地元では、一歳の誕生日を祝う「一生餅」や、四十九日の法要に供える「笠の餅」といった慶弔用のお餅を取り扱うお店としても親しまれています。

とおかしプロジェクト全体のとりまとめ役も

とおかし図鑑:御菓子司 昇月堂
優しい語り口で「西宮の和菓子のブランドをもっと高めたいですね」と、木地さん
実は、木地さんは、とおかしプロジェクトを運営する「西宮和菓子ブランド発信事業実行委員会」の実行委員長を務めています。
「一年のラインナップを決めるため、その年の参加店にはまず二つずつお菓子の案を出してもらいます。内容が重複しないように調整して、皆で試食して検討します」
四季を通じての行事だけに、夏の暑い盛りには、あまり日持ちしない練りきりを避けるなど、各店の順番には十分に配慮しているそう。
「各店の皆さんが努力して作っておられるものですから、参拝者の皆さんに良い状態で持ち帰っていただけるようにしたいんです」と、木地さんのとおかしへの思いを聞かせていただきました。

自家製こしあんと、軽い食感の焼菓子生地のハーモニー

とおかし図鑑:御菓子司 昇月堂
赤い掛け紙をかけた手提げスタイルの箱
君栄堂本舗のとおかし「戎福栗」は、同店で約30年愛されてきたロングセラー商品。
「インパクトのあるお菓子を残したいとの思いで作りました」(木地さん)との言葉どおり、通常の和菓子4個分ほどの重量があります。
とおかし図鑑:御菓子司 昇月堂
箱の中には大きな包みが一つ
とおかし図鑑:御菓子司 昇月堂
半分に切ってみると、そこには大きな栗が!
中央には大粒の和栗。サイズが大きな栗は外国産の方が入手しやすいそうですが、甘露煮にした際、和栗の方が、栗らしい風味がしっかりと残るそう。その和栗の甘露煮を自家製の赤と白のこしあんで包んで焼き上げます。生地の素材は薄力粉、ハチミツ、水あめ、卵、マーガリン。あえてバターを使わないことで、しつこくない仕上がりに。優しい甘さが、幅広い年代の人に喜ばれています。

その他にもこだわりぬいた和菓子がずらり

とおかし図鑑:御菓子司 昇月堂
常時7~8種類の生菓子が用意されています
とおかし図鑑:御菓子司 昇月堂
2年ほど前に登場したカステラ生地の「栗ふくさ」はおやつにぴったり
店内には、その他にも、豆餅や上用まんじゅうといったさまざまなお菓子が並んでいます(時おり季節の上生菓子も登場しますが、乾燥を避けるため、上生菓子はオーダーを受けて作ることが多いそうです)。
とおかし図鑑:御菓子司 昇月堂
「宮もなか」の包み紙には西宮神社の「三つ柏(みつがしわ)」の模様
なかでも、門前町らしい和菓子の一つが、西宮神社にちなんだ「宮もなか」です。神社の「巴紋(ともえもん)」をかたどった皮で、十勝産の小豆を丁寧に炊き上げて作ったあんを挟んでいます。注文が入ってから、一つひとつ作るため、できたてを買えるのがうれしいですね。
それぞれのお菓子から感じる緻密なこだわりが、お店を100年近く支えてきたことを感じました。

*****
「毎月十日はとおかしの日」。西宮のスペシャルな銘菓を楽しめる特別な機会をお楽しみください。
※11店舗の「とおかし」は、こちらの紹介リーフレット(PDF)でご覧いただけます。

市野亜由美
市野亜由美
西宮市在住のライター。"どこへでも実際に行ってみたい派"です。読者に「私も!」と思ってもらえるような、再現性のある情報を届けられるとうれしいです。好きなジャンルは、食べものやアート。
NISHINOMIYA COMMONS編集部
ライター・市野亜由美
  • はてなブックマーク
  • LINE(ライン)
関連記事