創業40年、西宮でこだわりのカバンを作り続ける理由
〜株式会社JIB代表取締役杉原寛信さんインタビュー〜

JIBの社長、杉原寛信さん
JIBの社長、杉原寛信さんにインタビュー!
街の中で、このようなクジラのマークがプリントされたバッグを見かけたことはありませんか。
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西宮市民の皆さんの中には「持っています!」「使っています!」という方も多いかもしれませんね。
それもそのはず。クジラのマークのバッグ JIBは、正真正銘の西宮ブランドなのです。
JIBがブランドとして産声をあげたのは40年前、夙川の地でした。当初は「マリンブティック」として創業、今では「カバン屋さん」としてイメージが定着しています。
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JIBの創業は1978年
今回は、ママそらから武中桂が船坂にあるアトリエにお邪魔して、株式会社JIB代表取締役の杉原寛信さんにインタビューを行いました。西宮にこだわる理由、カバン作りに込める想い、今子どもたちに必要だと思うことなどを熱く語ってくださいました。

マリンブテイックとして西宮で生まれ40年

僕は生まれも育ちも西宮で、最初にお店を始めたのは夙川なんです。夙川でマリンブティックとして創業して、それから何か物作りをしようということで本店を甲子園に移しました。いろんなカバンを作り始めて、そのうちに甲子園の店舗では手狭になってきて、もっと大きくしようと考えていた時に、この船坂の場所を見つけたんです。
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株式会社JIBの船坂アトリエ
僕は、ずっとヨットに乗っています。もう50年以上、今も現役ですよ。
ヨットレースでいろんな国に行くと、ヨットがどんな盛んな国でも、セイル作ったり艤装品※(ぎそうひん)作ったりしているところって丘の上にあるんですよね。海にある必要はない。
と言うのも、海は船が泊まって遊ぶ場所であって、作るのはそこからずーっと離れたところでいい。それでよく考えたらね、船坂は西宮のヨットハーバーから30分。「あ、なかなかナイスな環境やな」と。

※艤装品:船体に取り付ける様々な装備
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アトリエにはクライミング施設もあります

風で遊ぶための素材でバックを作るこだわり

JIBのカバンの特徴は、何と言ってもセイルクロスを使っていること。セイルクロスってね、面白いの、楽しいの。
そもそもセイルクロスって、カバンのために作った生地じゃないんですよ。ヨットをちょっとでも速く走らせようとか、ヨットの船旅で安全にどこまでも使えるようにって作った生地なんです。言うなれば「風と遊ぶための素材」。ヨットセイルを作ったら端きれが残るでしょ、その端きれでカバンを作る、それが楽しかったんですよ。それが、今のJIBバックの原点。
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そして、なるべく捨てられないようにしよう、というエコロジーの発想が常にあります。セイルクロスって、ものすごく強い化学素材なんです。少しでも長く、とことん使えるようにした方がいい、それがJIB的エコロジーの考え方。
生地を裁断するときは1枚1枚熱で切るし、熱で切ったところは角が立つから、それでは危ないということで1つ1つ巻き込んで縫製します。

我々の仕事は1つ1つの工程に時間も手間もかかるけれど、裏を返せばきっちりしてると自信を持って言えます。だから洗濯機で洗えるし、長持ちするんですよ。洗濯機で洗って下さいなんてね、これはきっちりヒートカット※してるから書けることです。それがホンマのエコロジー。だから、それなりの価格もしてしまうけど、しょうがないですね(笑)。

カタログの最初に書いてあるでしょ、「It's a message」て。つまり、商品そのものがメッセージ、そういう考え方。メッセージやからこそ、ちゃんとしたいんです、言葉の意味をね。

※ヒートカット:生地の加工方法の一つ。ほつれを防止することができる。
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「It's a message.」その想いが紹介されたパネルは、西宮本店にあります

ネーム入れの始まりは、子どもの持ち物につけるネームタグ

JIBのバックには、8文字まで無料で名前をプリントできます。
僕も親やから、子どもが生まれて幼稚園なんかに行くときに、小さいカバンに「コンタクト」ってマジックで書いて、家の電話番号と名前書いておいたんですよね。
それが、JIBの名前入れサービスの始まり。そしたら迷子になったって、誰かが電話してくれるでしょ。昔はそんな時代やったね。今はそんなことしたら大変やけどね(笑)。

親につけてもらった名前があるやん、て僕は言いたいわけ。これから愛情を持って長く使っていただきたいバッグに、子どもの持ち物に名前を書くのと一緒で、名前をつけてあげた方がいいかな、という発想ですね。だから料金とかじゃなしに、してあげよう、という僕の気持ち。

だから、断るときもありますよ。たとえば「I LOVE YOU」とかになったら、そんなん言葉やろ、って話。名前ちゃうやん、あかん、って。我々はしません。
僕らはどうしたら売れるかじゃないからね。人の名前を入れて持つよりも、自分の名前があるやろ、って。それだけのことやけど、徹底したこだわり。

学生で、どこかのスポーツのチームやったら、そのチーム名入れとったら格好えぇやろ。だから、チーム名も本当のチームやったら入れてあげよう、と。架空のチームはあかん。「I LOVE TIGERS」もお断り(笑)。「8文字以内」としてるのもね、大体の人は8文字で済むからね。
JIB
親子で愛用中の我が家のJIB。使用感が出てくると、さらに愛着がわきます

西宮に本店を構え続ける理由

僕が西宮にこだわる理由は、最高の場所だから。
世界中色々旅行してもね、西宮は最高。人が生活するのに、これほどの場所はないんちゃうかな?平均点が高い、こんな場所あるかな、世界中に。

たとえば、海。たとえばハワイや沖縄を100点としたときに、西宮なら何点になる?
西宮にも海はあるし、太平洋も日本海もそんなに遠くない。そう思ったら、65点か70点くらいはあるやろ。
山はどうか? ヒマラヤやスイス、カナディアンロッキーには敵わなくても、ここの六甲山系の自然も65点か70点はあるよね。

街はどうか? ここは神戸も大阪も近い。ニューヨークやパリを100点としたら、70点ぐらいはある。
食べ物なんて100点やろ。世界中の何でもある。人かて、震災の時、みんな助け合った。これも100点。これだけ恵まれた地域、他にない。

世界各地見てきたけど、ここは最高。だから、西宮にこだわるんです。そういう中でものづくりができていること、我々は幸せやなって思いますね。
またそういう人がファンにいてくれたら、これほど嬉しいことはない。わかってもらえてんねや、ってなるよね。
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JIBの西宮本店

子どもたちへのメッセージ

「遊びの数だけ、カバンのデザインがある」。僕にとって遊びとは、好奇心に向かって進んでいくもの、"ing系"なんです。だからたくさん遊んでほしい。
遊びにはいろいろなヒントがある。遊びの中から気づいたことや考えたことを、自分のセンスで探って、「これや!」って思うものを形にしていってるわけ。遊んだ経験がなかったら、モノなんてできるはずがない。

人間にはね、「痛い」「美しい」「美味しい」とか五感で感じることがいっぱいある。だから五感を鍛えることを一切してないと、やっぱりダメだと思います。
残念ながらいまの時代、五感の教育をされていない人たちがいる、それはなぜか。「勉強せぇ、勉強せぇ」って勉強させられてたからでしょ。じゃあなんで勉強、勉強となる? お金をたくさんもらうため、これがほとんど。でも肝心な五感について、一個も勉強してない。
小学校から中学校までの間、これが五感を教育する期間。外に出て五感を使えば「なんでこんなことになるんやろう?」って思うわけ。そこで学ぶわけ。なんでここの水はこんな温度なんや、という疑問から地学を勉強したり、科学を勉強したり。好奇心がそうさせる。その好奇心を育てることを、JIBはお手伝いしたいね。

好奇心を育てるには、JIBのバックは最高やで! 小さい時はみんな真っ白、いろんなもので影響を受けながら育つわけやけど、ちょっとでも子どもたちにそういう影響を与えられたらな、と思う、それがメッセージ。
JIB
JIB船坂店

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2時間に渡りお話を聞かせて下さった杉原社長。
我が家では親子で愛用しているJIBのバックですが、今回のインタビューを経て、私自身もバッグへの思い入れが変わりました。

ママそら
NISHINOMIYA COMMONS編集部
ママそらレポーター 武中桂
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